S.パリッシュ氏の整体概論を一部抜粋して、整体とはなにかを述べると、
「整体とは手技のみを用いて、骨格関節や筋腱の構造異常を正す方法」だと書かれています。
もう少し具体的に言うと、関節、筋腱に対して、屈伸などの運動手技を加える、
また経絡経穴などに適当な刺激を与えるなどして人体の健康管理、
疾病の予防を目的とした健康法(自然療法)だと言う考えです。
とすると、広義の整体はかなり応用範囲が広いということですね。
ただ、ここで重要なのはパリッシュ氏によると、整体とは疾病の治療法ではなく、
予防を目的とした健康法だと言っていることです。
また、整体とは屈伸などの運動法であり、整復法とは区別されています。
整体はあくまで矯正、整復は完全脱臼に対する処置です。
これには同意見できる部分もありますが、健康法だと言い切ってしまうことには若干の違和感を感じますね。
そもそも整体で調整可能なものは何か?
筋腱の位置異常?関節の亜脱臼?それらが調整可能なら整体とは立派な医療行為であると思う。
しかし、筋腱骨格の位置異常を矯正できるのは整復法の仕事であって整体法の役割ではないとも言えます。
では、整体の役割とはなにか?
筋腱、骨関節の動作不良の修正?
ならば、位置異常では無い。生理的位置関係は正常なのだが、なんらかの不具合が生じて動作不良を起こしているときに用いる手技が整体法だと定義できるでしょう。
ただし、整体という言葉自体が昭和に入ってから生み出された非常に新しい言葉であり、
じつは各流派、スクールによって整体の定義は異なるんですよね。
みなさんはどうお考えになりますか?
らくっと整体スクールでは整体を不完全亜脱臼の矯正をすることで、身体のバランスをとり、怪我の予防をする技術、と定義しています。
不完全が亜脱臼とはなんでしょうか。
「関節が正常な位置からずれることを、脱臼もしくは亜脱臼と言いますが、
レ線上では正しい位置にあるが、筋腱の異常な緊張もしくは動作不良により、亜脱臼を起こそうとする力が関節にかかり、痛みもしくは、不具合を発生している状態を不完全亜脱臼と言います」
難しいぞ!
その言い方、ちょっと難しいですね。一発で理解できる人いるでしょうか。
私には難しかったです(笑)
整体と整骨の違いについて
整体と言う言葉は大正、昭和にはいってから出来た言葉であろうと思う。
しかし似たような言葉は江戸期からある。
S.パリッシュ氏の著書の中に述べられている例では江戸期「楊心流柔術」の中に整胎、整骨という記載がある。
整胎は整体のことであるが、整骨を明確に区別されているところに注目したい。
整骨は骨折、脱臼、亜脱臼などの整復処置を指す。つまり整体と整復は違うということである。
当塾でも整体、整復は区別している。
では、整体とはなにかと言われれば、関節や筋肉の位置関係は生理的に正常な状態だが、動作不良を起こしている状態を改善する方法、と言える。
その原因としては血流障害、脳神経システムの誤作動、そして経絡の異常である。
だからマッサージのような手技や、経絡調整の技法も整体の施術の中に含めるのである。
カイロの「ほぐし」という技法はただのマッサージじゃないか!と批判的に見る方もおられるようだが、これは立派な整体技法なのである。
初期のオステオパシーは柔術系の整復法の影響を受けている歴史があり、また整体はカイロの影響を受けている。
つまり、世界の整体技術は互いに影響しあっているのであるから、各流派の技法を明確に区別することは難しいのではないだろうか。
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