
昨日のメールに対していくつかご質問をいただきましたので、回答させていただきます。
ご質問を要約すると、症状を考えずに診察するのですか、という内容のものでした。
たぶん、「望診をして、ただ気滞をとるだけです」と書いたので、そういう質問がきたのだと思います。
正規受講者の方には動画のなかでも詳しく解説させていただいているので、ご理解されているかと思うのですが、気滞をみるにあたって、症状、病態を考慮しないのではありません。
もちろん基本的な四診はしますし、病態把握してから望診します。
それが回答です。
ごく当たり前な回答でしょ(笑)
ただ、私個人的には症状を聞かずに望診をすることが多いです。
なぜかというと、先入観を排除するためです。
例えば、「腰が痛い」と言われたら、やはり腰のあたりに気滞があるのではないか、という思い込みから自分で勝手に腰に気滞をイメージで作り出してしまう。
気滞をみる望診法とは、そんな危うさをもっているんですね。
なので、最初はあまり症状を詳しく聞かずに望診をすることがあります。
そして、ざっと見て、詳しく問診をする、あらためて望診をするというパターンも多いでしょうか。
ただ、気滞が原因とならない症状もあるんですよね。
すでに自然治癒のベースにのっている状態であれば、それは自然の経過であって、症状(痛み)があっても異常とは感知されないんです。
そのあたりが、現代医学との最大の差でしょうか。
それは経絡治療、脈診においても同じことが言えます。
なので、症状があるから必ず経絡の変動もあるだろう、という思い込みを捨てなければ、いつまでたっても経絡変動の把握は修得できません。脈診も同じです。
気滞や経絡変動が原因となっていない症状はいくらもあります。
とくに自然治癒力が正常に機能しているうちは、気滞は現れにくいです。
その症状は気滞が原因となるものなのか、他の原因かを鑑別するためにも思い込みは排除して、素の状態で望診をしなければならないのです。
気滞は言い換えてみれば、自然治癒力の阻害が発生機転とも言えます。
四診法のなかの望診
四診法では、望診、聞診、問診、切診と4つの診察方法から成り立っています。
よく四診合算とか言われますが、これをいろいろな角度から診察して、平均をとるという意味にとらえている方もおられますが、私たちは違う解釈をしております。
最初に望診で気滞、経絡の状態を診ます。
次にその状態を改善するための方剤を選択(聞く)のです。
次にその方剤が合っているかどうかを患者の体に問います。
最後に切診によって経穴の反応が消えているかどうかを確認するのです。
これらは一連の流れで合って、どれか一部をとりだせるものでもありませんし、合算して平均をとるものでもありません。
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