本日はご質問に対する回答です。
質問
視覚に頼らない、ということですが、では完全に目を閉じて望診したほうがよいのでしょうか?
回答
それは目の前に対象物(患者)があったとしても、遠隔望診と同じになってしまいますので、
より難度が高くなってしまいます。
遠隔望診の難しさは目の前に対象がいないので、対象が患者(人)であれば、
人型を想像しながら望診しなければなりません。
ですが、望診にはイメージや想像の排除が不可欠ですので、
相反することしなければいけないわけです。
ですから目を閉じての望診はイメージしつつ、
それにとらわれないという難しさがあります。
なので、視覚で対象をとらえたまま、望診していただければ良いのですが、
コツとしては焦点を合せない、遠くを見るようにただ見る、
という感じで望診していただくと良いかと思います。
視覚に頼るとどうしても目で見ようとします。でもそれ(気滞)は目では見えませんので、
つい目を凝らしてしまい、肩によけいな力が入ります。
それがいけないのです
望診を行うときの注意点
望診における最重要注意事項です。
1、望診は胸の感覚で感知します。視覚ではありません。
2、あるがままに見ることが重要です。胸の感覚といいましたが、胸のみに偏らず、
対象物(この場合は患者さん)に偏らず、視覚に偏らず、あるがままを見ます。
3、気滞がある場合と無い場合があります。症状がある、ないとは別です。
思い込み、想像を排除するために1回ごとに感覚を素に戻すことが大切です。
4、はっきりとした差異が感知できない場合は無理に結論を急がないことです。
急ぐと想像が入り込み、間違います。
たったこれだけのことですが、以上のことが事実かつ、
重要なコツであることを確認するために5年かかっています。
ひとつ、ひとつ、意味をよく理解してください。
症状を考えずに診察するのですか、という質問をよくいただきますが、
正規受講者の方には動画のなかでも詳しく解説させていただいているので、
ご理解されているかと思うのですが、
気滞をみるにあたって、症状、病態を考慮しないのではありません。
気滞が原因とならない症状もあるということです。
なので、症状があるから必ず経絡の変動もあるだろう、という思い込みを捨てなければ、
いつまでたっても経絡変動の把握は修得できません。脈診も同じです。
気滞や経絡変動が原因となっていない症状はいくらもあります。
とくに自然治癒力が正常に機能しているうちは、気滞は現れにくいです。
なので、その症状が気滞が原因となるものなのか、他の原因かを鑑別するためにも思い込みは排除して、
素の状態で望診をしなければならないのです。
気滞は言い換えてみれば、自然治癒力の阻害が発生機転とも言えます。
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