望診法講座131 「気滞治療の必要性」

目安時間7分

私は、最初は経絡の勉強からから入りました。

 

そして経絡治療を学びましたが、経絡治療は効く場合と全く効果ない場合との差がかなりあり、その違いが分からないのが最大の悩みでした。

結論のでないまま、他の施術方法に答えを求めるようになり、そして整体の勉強を始めたのですが、つまりは、逃げたのです。

 

最初、整体の関節をまっすぐにすればよいというシンプルな施術に魅力を感じました。経絡治療と違って、基準がはっきりしているのが魅力でした。

ただ、そこでも疑問がでます。関節は真っすぐの方が良いというのなら、からだ全部を人工関節にすれば寸分たがわず、真っすぐにできます。しかし、それで健康になれるのか?

 

そこで得た結論は、人は微妙なゆらぎの上に成り立っており、けっしてすべての関節が整っているのが良いとは限らないということです。

ロバートフルフォード氏という米国で有名なオステオパシーの先生がおられました。著書に「いのちの輝き」というのがあり、いまでも読み返すことがありますが、そこでも生命のゆらぎについて語られています。

 

フルフォード先生の施術は、一種のエネルギー療法です。その施術は物理的に真っすぐになるように体を整えるのではなく、流れの詰まっているところを流してやるだけ、というのです。

 

しかし私にはなんのことか、さっぱり理解できませんでした。

そこで、エネルギー療法というのなら、やはり経絡や気のことを学びなおす必要があるだろうと考え、再び経絡の世界へ戻ったのです。理由の一つには、気が通らないと整体はできない(会津古流整体)と言われた熊坂先生の言葉もありました。

 

経絡をどう感知し、把握するのか?それさえできれば、あとはそれを調整するだけ、その施術方法はフルフォード先生のようにオステオパシーでもよいし、経絡治療でもよいと考えるようになったのです。

 

日本においてもエネルギー療法が出来る先生はおられました。鍼灸においても例えば昭和初期に活躍された沢田健先生の施術の記録はまさにエネルギー療法で、気滞を感知しながらそれを鍼灸で解消できるように追っていくという治療です。

 

現代においても有川先生という気滞をダイレクトに感知するという先生がおられました。「始原東洋医学」の著者、有川貞清先生です。気滞(エネルギーの停滞箇所)を望診で感知し、ダイレクトに動きを感じとりながら施術していくのです。まさに理想としている答えでした。

 

ただいずれの先生も、その修得過程が謎だったのです。それは有川先生も同じでした。やっているうちにできるようになったのだと言われるだけです。先生の望診の練習会でも、かんじんの望診だけは、ただ見ているだけ、自得せよというものでした。

 

その修得方法ですが、私から望診修得法のひとつの答えとしての身体操作、10秒筋トレを提案させていただきます。

どうして、そのような答えに至ったかは、また講座の中で説明しますが、気滞を感知する望診法の練習としての身体操作、それを土台としての10秒筋トレを望診法修得のための練習として練習会を開催したいと思います。

 

そこで目指すのは、経絡を調整する専門家です。

具体的に言いますと、例えば、腰が痛いと訴えてきた患者さんがいるとします。

まずは望診、気滞があるかどうかを感知します。気滞があれば、自然治癒力が著しく阻害されているということですがから、気滞解消の施術を優先します。

また、気滞がなければ、物理的な他の原因を考える必要があります。

 

気滞が検知できなかった場合、はっきりとした原因があるかどうかを問診します。

怪我、急性期はまずは3か月間の辛抱が必要とはっきり伝え、西洋医学との併用も考慮にいれて施術プランを立てます。物理的な損傷にはある程度の日数が必要だからです。

 

ここで注意点ですが、ぎっくり腰(急性腰痛)の場合、物理的な損傷を伴っている場合と、そうでない場合の2種類があり、損傷がない筋肉の緊張だけの腰痛であれば、その場で解消可能です。

 

よく「あの治療院で、ぎっくり腰を1回で治してもらった」という話を聞きますが、それは物理的損傷を伴っていない腰痛です。

物理的損傷を伴っている場合とは筋肉の断裂や軟骨の損傷を発生していますから、1回では治りません。

それが治せるというのなら、切り傷・擦り傷も1回で、もとの綺麗な皮膚に治せるはずです。

 

自然治癒の限界を超えた治癒はありえません(大原則です!)

さて、慢性痛は3~6か月経過しているかどうかが判断基準となります。慢性痛の自然治癒は難しいものがあります。慢性痛に移行している場合は根本的な筋力低下や老化(その場合には10秒筋トレがかなりの効果を発揮できます)、もしくは気滞があるかのどちらかです。気滞がある場合は気滞解消の施術を併用しながらプランを立てます。

 

参考(慢性痛で気滞が無い場合の腰痛の進行)

第1段階で考えること

では何が原因か⇒姿勢、慢性疲労、筋力低下(もしくは硬化)、怪我のあとの後遺症(筋肉の硬化)

第2段階

上記原因がさらに進行すると⇒体の歪み⇒さらに怪我しやすく、疲労しやすいからだに!

第3段階

さらに進行⇒関節の変形、内臓機能の低下、新陳代謝の低下。

第4段階

さらに進行⇒痛いから動かない、動けない⇒廃用性症候群⇒寝たきり

これをちゃんと説明し、現在どの段階にあるのか、それをどう食い止めるのか?

 

100年使える体づくりを目指し、生活のなかに10秒筋トレ(ぜひ取り入れて欲しい)を活かし、

また気滞を解消(経絡の調整)することで、自然治癒力の活性化を目指す必要性も理解していただく。

 

私は、これらが総合的にプランニングできれば、健康寿命をかなり伸ばせると確信しております。

 

ですから、ぜひとも「10秒筋トレ」の普及啓蒙に参加していただきたいのと同時に気滞を解消する、経絡を調整するという施術にもチャレンジしていただきたいと思っています。

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当ブログの「望診」について

東洋医学というと、陰陽五行論をはじめ、気とか自然とか、観念論ばかりが目立ちます。

当会での望診で気を診る技術は再現性を重視、既存の東洋医学の理論とは一線を画すものとなっております。

イメージを排除し、あくまで出来るか否か、気とは、経絡とはなにか、その正体を追求します。

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東洋医療技術研究会 代表者名

現代表 勝木れい子(石川県金沢市 鍼灸師)

技術主任講師 吉田宜正(石川県 柔道整復師)

講師 岡田 (大阪府 整体師)

講師 水根 (兵庫県 鍼灸師)

講師 西域 (奈良県 鍼灸師)

 

相談役 古川正明先生(福岡)

記事執筆・メルマガ担当 前沢

会計担当 山田

勉強会風景
古代の望診法とは

古代に存在した「望診法」はダイレクトに気と経絡を見る技術だったのではないかと考えています。

3000年以上前の診察法の言葉に「望んで知る、これ神」という言葉があります。

この言葉は現代では、見ただけで診断ができるのは神様のようなものだ、という意味に解釈されています。

しかし、この言葉がつくられた(約3000年前)当時の「神」という漢字の意味は現代のような神様仏様のような意味ではなく、

神=自然(の気の流れ)という意味であったのです。

つまり、「望んで知る、これ神」の意味は、まず望診で気の流れを見ましょう、という意味であったのだと思います。

ですから、望診は診察手順の第1にくるのです。

四診合算という言葉があります。

望診、聞診、問診、切診の総合評価で証決定をしましょうという意味にとられています。

ですが、古代の望診のあり方を考えると、四診合算ではなくて、四診はその手順どおりに並んでいるだけです。

最初に望診で気の流れを把握しましょう、次に聞きましょう(聞診)、問いましょう(問診)、切(触診)してみましょう、と続いていくのす。

診察の手順としてまず望診ありきで、ここで患者の体のバランスが自然な状態(元の健康な状態)からどれくらい逸脱していて、どこに異常があり、どこが治療のポイントかを把握してしまいましょう、とうのが望診なのです。

ですから、望診というのは、神業だという意味ではなく、通常の診察手段として、最初に来るべきものなのだと考えております。

潜象界について

潜象界とは、現象界の対義語(造語)ですが、現象界は人がその五感で感じ取れる実体の世界のことです。それに対して、現象界とまったく同時に同じ空間に存在しながらも、五感では感じ取ることのできない世界を潜象界と言います。

潜象界はいわゆる「気の世界」であるとも言われています。

その潜象界からの情報は現象界で起こっている事象に先駆けて動き、その潜象界の動きが具現化されて、現象界で実体としての動きに繋がっているとされています。ただ、いまのところすべてが仮説であり、それを数値化、もしくは映像化して確認する方法がありません。

唯一、確認する方法があるとしたら、それは人本来がもっている原初感覚を呼び覚ますこと。

この原初感覚は気を実感として感知することが可能で、その原初感覚をもってすれば、潜象界での気の動きを捉えることができるからです。

その原初感覚を使った望診法が当ブログでいう「古伝の望診」なのです。

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