東洋医学を志して、最初に学ぶのは陰陽五行論です・・・のはずなんですが。
ところが、鍼灸師でも最近は陰陽五行論について知らない人が増えているようです。(信じられないことです!)
現代医学的な見地から筋肉や神経の走行に鍼の施術をしていくぶんには陰陽五行論など無用なのはしかたがないことかもしれないですね。
でも以前の日記でも書きましたが、見えない気の世界を本当に理解するには現代医学の知識が必要だと思っています。
それと同じように現代医学的鍼灸を極めていくと、東洋医学にたどりつくと思うのです。
それこそ陰と陽の関係で表裏一体となっていて切り離せないものだと考えているからです。
少なくとも私の中では東洋医学の理論だけを論じる、もしくは現代医学的な鍼の方法論だけを論じるというのは、どちらも片手落ちのように感じます。
東洋医学は見えない世界であるだけに時として自分の感覚だけで暴走(もしくは妄想)してしまいがちです。
たしかな基準点としての現代医学は大切な役割をもっていると思います。
陰陽とはよく男と女、+と-、太陽と月のように相対的なものに例えられますよね。
だから多くの方は陰陽を2つのもの、2つの相反する作用をもつ組み合わせであると考え勝ちです。
でも本当の陰陽論とは矛盾の包括なんです。
大きいけど、小さいとか、熱いけど冷たいとか。
普通は矛盾とは存在しえない2つの相反するもの、というふうに理解されています。
でも実際には矛盾する2つのものは同時に、まったく同時に同じ場所に、存在します。
そして相反する2つのもので成り立っているのがこの世界であるというのが、陰陽論です。
鍼灸はただ気滞を消すだけのシンプルな治療法
陰陽論から言えば、鍼灸治療とは複雑難解であると同時に、きわめてシンプルな治療体系をもつと言えます。
複雑で難解なのはみなさん納得していただけると思うんです。
ですが最近私は、鍼灸ってものすごくシンプルな治療法なんだなと思ってます。
鍼灸術とは気滞を解消する、ただそれだけの治療法なんです。
なにをもちいて解消するのか?
経絡と経穴です。
生きた人体においては気滞を解消するべく経絡が反応として現れます。
それに対してアプローチするわけですが、その手段として鍼灸術というのが、ひとつの方法として存在するわけです。
その反応として現れた経絡や経穴に対して食べ物でアプローチしようとしたのが漢方薬であり薬膳であったのだと思います。
ではそれ以外でのアプローチ法もあるか?と聞かれれば、あると思います。
私にはまだうまくできませんが、整体や指圧などの各種手技療法などでもアプローチできると思っています。
経絡治療の話しからは少しずれてしまいますが、オステオパシーやカイロ、指圧などの文献の中には「これって気滞をうごかしているんじゃないの?」としか思えないような記述が見られます。
本人が意識しているいないに関わらず、過去の手技療法の名人と言われた人は人体の物理的な構造へのアプローチと同時に、気の体へのアプローチもしていたのだと思います。
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