経絡治療において、適応側ということを重視されている先生方がおられます。
そういったことを質問される方が何人かいらっしゃいましたので、回答させていただきます。
さて、適応側の判定については先生方によって独自の判断基準を持っておられる先生もおられると思います。
基本的には健康側。
男性は左。
女性は右。
これが基本と言われていますが・・・。
反応点を拾ってみても、確かに健康側に反応点(経穴)が出現するパターンのほうが多いです。
ただ、多くの先生が言われているような、男女間の差は現時点では、ほとんど見受けられません。
従って、男女間の差は考慮にいれておりません。 ですがいろいろな意見や考え方があると思いますので、もしこういう考え方があるというコメントをいただけたら嬉しく思います。
適応側の判定基準
気滞が判別できれば適応即の判定も容易になるのですが、気滞や経絡が見えないうちは実症状から判断しなければなりません。
そこで、みなさんはどのように判断されていますでしょうか?
症状に偏りがない、風邪などの全身症状などなど・・・
耳前動脈? 足背動脈? 中脈? 臍のわきの盛り上がり? その他の症状を探して、なんとか左右差を見つける?
いかがでしょうか。
私のところでは反応点の多いほうを優先しています。
実は症状の偏り以外はあまりあてになりません。
ですが反応点を拾っていくと、とんでもないデータがでてきたりします。
データがある程度集まったらまた発表します。
では、問診はどうなのか?
以前のメルマガで書いた、患者さんの「よくなりました」はあてにならない、と似ていますが、問診時の患者の訴えも実は当てにならないことがままあります。
まず、患者さんにとって日常化している症状は訴えるレベルにあがってこない。
例えば便秘です。
あまりに日常化していると、便秘している状態があたりまえになってくるので、こちらが聞かない限り便秘の症状を訴えないことがあります。
また便秘のレベルがこちら側とあまりにずれていると、聞いても教えてくれません。
つまり患者さんの独自の判断基準で3~4日に1度は正常、7日以上いかないと便秘ぎみ、と思っている方がいらっしゃいます。
体の状態を的確に判断、評価するのは結構難しいものです。
問診で患者さんの意識に上がってこない症状は聞き逃すことがあるわけです。
それには3種類あると思うんですよね。
ひとつは前回書いた慢性化、日常化した症状。
もうひとつは、患者本人が他の症状が気になるために忘れている場合。
これが実際には以外に多いんです。
先日も急性腰痛の痛みが和らいできたら「そう言えば肩も痛かったんですよ」と、四十肩を訴えだす方がいました。
経絡治療では相剋調整が基本なのですが、その方は脾肝相剋(脈診による)でした。でも肝木の変動に弁別できるような具体的な症状は最初なかったんです。
後になって、それは肩に症状となって現れていたんだな、と気付きました。
そういうことがよくあります。
さて、最後の1つですが、それは無症状だけれども気滞がある状態のときです。
つまり患者本人の自覚症状にはまったく現れていない状態。
ですが、気の滞りを感知できるということは、症状の自覚がないだけで、すでに病を発症しているのと同じ事ですよね。
ですから未病の状態とは少し違います。
未病の予防は本当の養生法のことで、気の滞りや経絡の異常を調整することを言うのではありません。
このあたりを混同している方が多いように思います。
ですから気の滞りから変動経絡を確認し、問診で洗い出していくと本人も気づいていなかった体の変化や嗜好の変化を発見することがあります。
例えば、胃経の気の滞りで自覚症状は無かったが、よく思い返してみると最近、食事の好みが変わったとか、食べても空腹感が消えないとか、なにかしら将来の病気に発展しつながっていきそうな変化が見つかったりします。
少しでも気の滞りを感じたら注意です!
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