さて、前々回、前回と東洋医学はその理論はほとんど仮説で構成されていますという話をしました。
それについては、いろいろとご意見もいただきました。
「それでも脈診は、はっきりとした指標になることは確かですよね」と。
じつは潜象界の気が現象界に現れるのにも段階があると思っています。
東洋医学の基礎ではざっくり気⇒血⇒骨と表現していますが、脈は気の現れの第2段階なんですね。
だから気の動きそのものではないんです。
そこから気の動きを読み取る作業をしなければいけないから脈診は難しいのだと思います。
ではどうしたらよいのか、ですが、それは望診による気の感知能力を修得していただくしかないと思っていますし、現時点ではそれが一番ベストな方法だと思っています。
これについても反論は多々あるかもしれませんが、それこそ実体が解明されていない以上、研究として取り組む対象を選ぶのは自由なので、脈診を極めたいというのであれば、どうぞ、と言うしかありません。
私は望診のほうを探究いたします、ということです。
ただ、前回もいいましたが、唯一絶対これだ!と思い込むと、それは危険な方向、間違った方向へ行っても修正がきかなくなってしまいます。
なので、私も柔軟な姿勢だけは失わないようにしたいと思います。
ところで、経絡の知識は無くても経絡は見えますよ(感知できますよ)!
ときどき、「経絡・経穴の知識はないのですが・・・」といったコメントをされる方がおられますが、それらの知識は気流診修得には逆に妨げになることも多く、無いなら、無い方がよいかもしれません。
なぜなら、気を感知するという能力開発において、もっっとも邪魔になるのは先入観だからです。
こういう病態(もしくは証)だから反応点(施術経穴)はここと、ここだろう、みたいな。
経絡治療の補寫調整で使用される組み合わせや奇経治療で組み合わされる経穴が実際にそのパターンで出てくることは1割あるかないかという程度だと思っています。
そう聞くととっても少ないように思われるかもしれませんが、定型パターンが1割もでてくるというのは、とても多い数字なんです。
つまり、1割も同じ取穴になることのほうがびっくりなんですね。
でもこの定型取穴は便利です。
気の感知による取穴ができなくてもとりあえず気がわからなくても、パターン施術をしておけば、1割の人には著効を示すわけですからね。
古代の鍼灸師たちは、その経穴の出現パターンからよくここまで理論を組み立てられたな~と、感心させられます。
でもここで、ちょっと待てよと思われる方もおられるでしょう。
「例えば脈診その他の四診で、肝虚と証をたてた。その場合の取穴はほぼ一定だし、ちゃんと反応も出てるんだけど間違いなの?」
「それで効果もでてますよ、脈も変化しているし!」
わかります。
その取穴で合っている場合もあるでしょう。
でも、間違っていても自然治癒力によってある程度は治ってしまいます。
また、脈はどんなところに刺入してもある程度変化してしまうんです。
そのことは脈診の大家と言われる方々の実験で確認しています。
なので、そのとき反応がでてますよっていう意見は半分は勘違いであると思われます。
もしくは、当たっているのでしょうけれども強力反応点(いわゆる主治穴)ではない場合。
そのどちらかだと思われます。
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