望診法講座44 「経絡治療における刺激量の問題」

目安時間5分

質問

私も以前より鍼灸を治療法と用いていますが、接触鍼でも変わる、経絡を考えなくても鍼を刺せば効果がある、
どう考えればいいかわからくなる時があります。

 

回答

まずは、ご質問ありがとうございます。

 

さて、この問題、私も同じように悩みました。結局、下手な経絡治療より刺激鍼のほうが効果が高いのでは?

と考えたこともあります。

 

で、私なりの結論ですが、ようは適応の問題だと思いました。

 

つまり、その症状が経絡の変動によるものかどうかってことです。

 

正常に自然治癒力が働いているうちは経絡の変動はあまりでていないので、
(たとえば筋肉痛や一時的な肩こりなど)それに対しては接触鍼より刺激鍼のほうが効果がでるということです。

 

逆に自然治癒力がなんらかの原因で働きが鈍っている場合は経絡の変動が大きくでていますから、
刺激鍼では効果がだせないどころか、強刺激で悪化させることもあります。

 

その場合は経絡治療の適応症となりますし、経絡の調整だけなら接触鍼でも十分な効果が得られます。

 

また、刺激に対する反応は人やその時によってさまざまです。

 

その反応の出方によっては、プラス方向に効果がでてしまうこともあるんですね。

 

そのあたりは鍼灸治療のおおらかさでしょうか。

 

経絡変動の捉え方

質問

経絡の変動に左右されるという事ですね、とすると経絡は存在し気血の循環の流れだという事でしょうか、
おおらかさは人体の刺激に対する受容の幅が関係すると考えますが。

 

回答

まずは、ご質問ありがとうございます。(ご質問の回答は基本的に質問はメンバー全員で共有ですので、
本メルマガで回答させていただきます。

 

さて、「経絡は存在し、気血の循環~」のところですが、本会では基本的には気、経絡の存在を認めていないんですね。

 

気や経絡の研究会なのに、認めてないってどういうこと?と、怒られそうですが、
目に見えない現象として、なにかは「ある」、しかしその正体がわからないので、
古代の人々は気や経絡の概念をつくりだし、経絡学説を展開してきました。

 

でも、それはあくまで仮定の話であって、それが正しいかどうかは誰も証明できていないんです。

 

※これは厳然たる事実なのでどうしようもないです。いかなる経絡治療家も普段からこれが「気」だ、「経絡」だといっている大先生も、ではそれを納得できるように証明してください、というと誰もできない。だからといってインチキだとも言えない。現象としてなにかあるのは確かだからです。だから経絡の存在はあくまで仮説なのですね。

 

なので、本会では経絡はあくまで仮説、しかし何かがあることは確かなので現象として捉えられるものを集めて、資料作成をしましょうという姿勢をとっています。

 

ただ、望診法の創始者である故・有川医師は経絡はほぼあると思ってよいと言われていました。

 

また経絡の最終的に合う経穴は百会であろうとも言われていました。

 

ですから古代の方々の知恵の成果である経絡はまだ証明はされていませんが、経絡学説の根幹部分は間違っていないと考えています。

 

でも、東洋医学は仮説どうしをさらに組み合わせて新しい学説をつくってきたという歴史がありますから当然、ぜんぜん見当違い、間違い学説も多いと思われます。

 

これも有川医師が言われていたことですが、だからこそ望診法で経絡を感知する能力を修得しなさい、そうすれば、なにが正しくて、なにが間違っているか判断できるからと。

 

経絡治療の大家と言われる先生でもとんでもない間違いを言っていることがあるのがわかるよ、とも言われていましたね。

 

経絡治療練習会にて

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東洋医学というと、陰陽五行論をはじめ、気とか自然とか、観念論ばかりが目立ちます。

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古代の望診法とは

古代に存在した「望診法」はダイレクトに気と経絡を見る技術だったのではないかと考えています。

3000年以上前の診察法の言葉に「望んで知る、これ神」という言葉があります。

この言葉は現代では、見ただけで診断ができるのは神様のようなものだ、という意味に解釈されています。

しかし、この言葉がつくられた(約3000年前)当時の「神」という漢字の意味は現代のような神様仏様のような意味ではなく、

神=自然(の気の流れ)という意味であったのです。

つまり、「望んで知る、これ神」の意味は、まず望診で気の流れを見ましょう、という意味であったのだと思います。

ですから、望診は診察手順の第1にくるのです。

四診合算という言葉があります。

望診、聞診、問診、切診の総合評価で証決定をしましょうという意味にとられています。

ですが、古代の望診のあり方を考えると、四診合算ではなくて、四診はその手順どおりに並んでいるだけです。

最初に望診で気の流れを把握しましょう、次に聞きましょう(聞診)、問いましょう(問診)、切(触診)してみましょう、と続いていくのす。

診察の手順としてまず望診ありきで、ここで患者の体のバランスが自然な状態(元の健康な状態)からどれくらい逸脱していて、どこに異常があり、どこが治療のポイントかを把握してしまいましょう、とうのが望診なのです。

ですから、望診というのは、神業だという意味ではなく、通常の診察手段として、最初に来るべきものなのだと考えております。

潜象界について

潜象界とは、現象界の対義語(造語)ですが、現象界は人がその五感で感じ取れる実体の世界のことです。それに対して、現象界とまったく同時に同じ空間に存在しながらも、五感では感じ取ることのできない世界を潜象界と言います。

潜象界はいわゆる「気の世界」であるとも言われています。

その潜象界からの情報は現象界で起こっている事象に先駆けて動き、その潜象界の動きが具現化されて、現象界で実体としての動きに繋がっているとされています。ただ、いまのところすべてが仮説であり、それを数値化、もしくは映像化して確認する方法がありません。

唯一、確認する方法があるとしたら、それは人本来がもっている原初感覚を呼び覚ますこと。

この原初感覚は気を実感として感知することが可能で、その原初感覚をもってすれば、潜象界での気の動きを捉えることができるからです。

その原初感覚を使った望診法が当ブログでいう「古伝の望診」なのです。

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