望診法講座43 「鍼の刺激量について」

目安時間6分

鍼灸の刺激量ってどれくらいが適当なんでしょうか

やりすぎても過剰反応をおこし、筋肉が固くなります、足らなくてもほぐれません。

 

気滞を見て判断できますでしょうか?

 

というご質問をいただきました。

 

まず、施術の指標は脈や腹診、筋肉の硬軟などさまざまあるのでしょうが、

ここでは筋肉がほぐれたかどうかに基準を置いてお話します。

 

症状の改善はその場では判断基準にはしにくいものがあります。

 

筋肉がほぐれた後、少々の時間差を置いて痛みが取れていくからです。

 

鍼をしたその日より翌日のほうが症状が軽くなったのが実感できる方が多いのはその時間差のためです。

 

ただ、逆の場合は症状がまったく変化しないか、もしくは悪化します。

 

ですからその場で、気の流れや、筋肉の硬軟が変化していることを基準とした方が良いと思います。

 

施術者が思っているより刺激量が足りない場合は意外に多いです。

 

その逆に刺激量が多すぎる場合も以外に多いです。

 

ではその判断をどうするか?

 

一つは単純に筋肉の硬さで判断します。

 

筋肉が凝っている人はそれがほぐれたかどうか?で判断し、柔らかくなっていなければ、鍼の場合だと鍼数も深さも足りていないと判断します。

 

では筋肉にさほどのコリが無い場合はどこで判断するのか?

 

経絡的にみると反応筋肉部位というのがあります。

 

たとえば肝経や脾経の場合は大胸筋鎖骨部、肋骨部付近です。

 

具体例で言うと、右膝の鵞足炎が主訴だったとします。

 

すると大胸筋鎖骨部位もしくは肋骨部位の大胸筋の緊張にも左右差がでます。

 

それは羽毛布団でも触る程度の柔らかさで触らないと差がわかりません。

 

その緊張がとれて左右さが無くなったかどうかを判断基準にします。

 

もちろん、それがすべてではありませんよ。

 

そういう診方もあるということです。

 

参考になりますでしょうか。

 

気の流れをみて判断する場合はどうか?

 

筋肉や反応点に頼らず、気の流れ(気滞)で判断する方法ですが、これは一律ではありません。

 

公式サイトでも解説させていただいておりますが、

 

施術者が修得している技術によって見えてくる気の流れ(経絡)や気滞の種類が違います。

 

整体の場合、筋骨格を意識して望診をした場合、筋肉の異常緊張箇所や、関節のズレを感知します。

 

したがって、筋肉が適当にほぐれたかどうか、整復がうまくいっているかどうかは気滞が消えたかどうかで判断できます。

 

施術者の修得技術で感知できる気滞が変わる、と書きましたが、では複数の技術を組み合わせている施術家はどうするのか?

 

その時は見たい気滞に合わせて、意識するポイントを変えればいいのです。

 

これによって、筋骨格系から純粋な経絡異常、内臓の異常まで感知可能となります。

 

古流整体の「見の技法」

 

古流の整体に「見の技法」というものがあります。

 

これは、流派によっては姿見検査などいといろな名称があります。

 

その方法は立位、仰臥位、伏臥位でただ歪みを見るのだ、とされていますが昔は違ったはずなんですね。

 

その姿見検査(見の技法)で不具合をおこしている関節や、矯正のポイントまで把握してしまっているのですから。

 

なので、関節の歪み、鍼灸でいうところの経筋の異常(緊張)も感知していたはずなんですよ。

 

これは有川先生の望診法にも通じるものがあると思います。

 

ただ、その練習方法は両者では違いがあり、有川先生は姿勢や体調については特に言い残していないのに対して、「見の技法」では自分の姿勢や体調を重視しています。

 

まず、自分の中に正体(整体)を作り出さなければ、相手(患者)の異常を感知することはできないとしております。

 

ですから、その練習は禅の修行にも似ていて、まずは立身中正、脱力、そして呼吸を整えること。

 

これを基本とします。

 

そして、自分の体の中の感覚を研ぎ澄ましていくことで、姿勢の乱れ、中心線の崩れ(バランス)、関節の緩やかさ、筋肉の緩やかさなどを明確に感知できるようになるのです。

 

それが、自分の中に正体(せいたい)ができる、と言います。

 

そうなって初めて、相手の異常が感知できるんです。

 

これが古流整体の「見の技法」です。

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東洋医学というと、陰陽五行論をはじめ、気とか自然とか、観念論ばかりが目立ちます。

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古代の望診法とは

古代に存在した「望診法」はダイレクトに気と経絡を見る技術だったのではないかと考えています。

3000年以上前の診察法の言葉に「望んで知る、これ神」という言葉があります。

この言葉は現代では、見ただけで診断ができるのは神様のようなものだ、という意味に解釈されています。

しかし、この言葉がつくられた(約3000年前)当時の「神」という漢字の意味は現代のような神様仏様のような意味ではなく、

神=自然(の気の流れ)という意味であったのです。

つまり、「望んで知る、これ神」の意味は、まず望診で気の流れを見ましょう、という意味であったのだと思います。

ですから、望診は診察手順の第1にくるのです。

四診合算という言葉があります。

望診、聞診、問診、切診の総合評価で証決定をしましょうという意味にとられています。

ですが、古代の望診のあり方を考えると、四診合算ではなくて、四診はその手順どおりに並んでいるだけです。

最初に望診で気の流れを把握しましょう、次に聞きましょう(聞診)、問いましょう(問診)、切(触診)してみましょう、と続いていくのす。

診察の手順としてまず望診ありきで、ここで患者の体のバランスが自然な状態(元の健康な状態)からどれくらい逸脱していて、どこに異常があり、どこが治療のポイントかを把握してしまいましょう、とうのが望診なのです。

ですから、望診というのは、神業だという意味ではなく、通常の診察手段として、最初に来るべきものなのだと考えております。

潜象界について

潜象界とは、現象界の対義語(造語)ですが、現象界は人がその五感で感じ取れる実体の世界のことです。それに対して、現象界とまったく同時に同じ空間に存在しながらも、五感では感じ取ることのできない世界を潜象界と言います。

潜象界はいわゆる「気の世界」であるとも言われています。

その潜象界からの情報は現象界で起こっている事象に先駆けて動き、その潜象界の動きが具現化されて、現象界で実体としての動きに繋がっているとされています。ただ、いまのところすべてが仮説であり、それを数値化、もしくは映像化して確認する方法がありません。

唯一、確認する方法があるとしたら、それは人本来がもっている原初感覚を呼び覚ますこと。

この原初感覚は気を実感として感知することが可能で、その原初感覚をもってすれば、潜象界での気の動きを捉えることができるからです。

その原初感覚を使った望診法が当ブログでいう「古伝の望診」なのです。

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