望診講座65 「気をみる、気を感じる練習4」

目安時間5分

 

2008年11月研究会の実習・・・最も初期の頃の症例(参考までに)

この日は模擬患者1名、鍼灸診断者1名、気滞診断者1名、整体施術者1名による実習をおこなう。

 

鍼灸・・・経絡治療学会系の証をたてる
気滞診断・・・一般的には切診でおこなうが、今回は望診のみ
整体・・・おおまかな歪みのみチェック

 

目的
模擬患者を伝統鍼灸術(経絡治療)診断、気滞診断、整体的な歪み診断と3者でそれぞれに診断をたて、整体による施術をおこなう。

その結果、伝統鍼灸的には予後をどう診るか?気滞診断的には予後をどう診るか?

そして整体施術後の実際の直後効果と予後判定との差はあるのかを検証する。

 

実際の内容

模擬患者 40歳男性 主訴 腰痛(立っているのが辛い)、その他肩こりや背中の強張り。

まず鍼灸師による診断をおこなう。

 

伝統鍼灸による診断
部位 腎、  性質 腎・脾、  望診 腎・肝
舌 はん大・歯痕・紅、

脾の変動 腹部膨満
腎の変動 皮膚乾燥
腹診   腎・肺の虚、脾の実
背診   腎・肺の虚
脈状   沈・遅・硬・狭

証(診断)腎脾両虚・・・もしくは腎虚脾実

 

次に気滞診断を行い、東洋医学的にどこに問題が発生しているかを確認する。

 

気滞診断
主訴は腰痛だが気滞は腰部よりも、体の前面下腹部に強い気滞反応。次に背部全体に気滞を確認。

 

最後に整体的に歪みの判断をおこなう。

 

整体診断
以下、簡単な所見を述べる

脊柱の歪み 胸椎の後湾強い・腰椎左方へ捻れ
骨盤    左腸骨の前上方転位
左腰部の筋緊張強い

 

施術
整体的な診断に従い骨盤調整と腰部の筋緊張をとるための施術をおこなう。
1伏臥位にて背部筋の緊張をとる手法
2左下肢牽引から左下肢の右方捻転
3仰臥位にて左腰部筋の緊張緩和の手法

骨盤の細かな調整はせず、ここまでで再診断をする。
整体の施術は基幹手法の簡単なもののみにとどめた。

 

(1回目の施術結果)
気滞診断では背部の気滞はやや薄れ、下腹部の強い気滞は左方に寄った感じとなる。下腹部の気滞の強さは同じ。

鍼灸的な診断では脈状がよくなり、思っていた以上に改善されているとのこと。

実際の直後効果は少し軽くなったものの、腰の痛みはまだある。

 

さて、この腰の痛み、立っていると辛いということから通常なら椎間板の疲労が疑われ、整体的には腰部の牽引捻転手法を用いるのだが、
問題は気滞が腰部ではなく下腹部にあるということである。

これは椎間板よりも、むしろ腸腰筋などの深部筋層や大腿につく筋肉群に不調があることを示している。

以上のことを確認したうえで2回目の施術にはいった。

 

(施術続き)

気滞の場所により、腰椎の牽引手法はせずに、仰臥位にて腹部および、左股関節周辺の緊張緩和の手技をほどこす。
さらに、左股関節の関節位置修正をおこなう。

 

(結果)
腹部の気滞がかなり消滅。ついで背部の気滞も確認するとほぼなぅなっていいる。
ここで直後効果を確認すると、腰の痛みはかなり軽減しているという。気滞がないことを確認して施術を終了する。

なを実際の施術時間は検討時間を除けば約15分。

後日談だが1ヶ月の後も腰痛の再発はなかった。

 

(考察)
気滞を確認しながらの施術は以下のような効果があると思われる。

1効果的な施術ができるため施術時間がかなり短縮される。
気滞が判断の指標となるため無駄な施術をしなくてもよいためで ある。

2予後判定が楽である。気滞の消滅が施術終了の目安となり、ま  た予後の予測も可能である。

3原因の特定が容易になる。

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古代の望診法とは

古代に存在した「望診法」はダイレクトに気と経絡を見る技術だったのではないかと考えています。

3000年以上前の診察法の言葉に「望んで知る、これ神」という言葉があります。

この言葉は現代では、見ただけで診断ができるのは神様のようなものだ、という意味に解釈されています。

しかし、この言葉がつくられた(約3000年前)当時の「神」という漢字の意味は現代のような神様仏様のような意味ではなく、

神=自然(の気の流れ)という意味であったのです。

つまり、「望んで知る、これ神」の意味は、まず望診で気の流れを見ましょう、という意味であったのだと思います。

ですから、望診は診察手順の第1にくるのです。

四診合算という言葉があります。

望診、聞診、問診、切診の総合評価で証決定をしましょうという意味にとられています。

ですが、古代の望診のあり方を考えると、四診合算ではなくて、四診はその手順どおりに並んでいるだけです。

最初に望診で気の流れを把握しましょう、次に聞きましょう(聞診)、問いましょう(問診)、切(触診)してみましょう、と続いていくのす。

診察の手順としてまず望診ありきで、ここで患者の体のバランスが自然な状態(元の健康な状態)からどれくらい逸脱していて、どこに異常があり、どこが治療のポイントかを把握してしまいましょう、とうのが望診なのです。

ですから、望診というのは、神業だという意味ではなく、通常の診察手段として、最初に来るべきものなのだと考えております。

潜象界について

潜象界とは、現象界の対義語(造語)ですが、現象界は人がその五感で感じ取れる実体の世界のことです。それに対して、現象界とまったく同時に同じ空間に存在しながらも、五感では感じ取ることのできない世界を潜象界と言います。

潜象界はいわゆる「気の世界」であるとも言われています。

その潜象界からの情報は現象界で起こっている事象に先駆けて動き、その潜象界の動きが具現化されて、現象界で実体としての動きに繋がっているとされています。ただ、いまのところすべてが仮説であり、それを数値化、もしくは映像化して確認する方法がありません。

唯一、確認する方法があるとしたら、それは人本来がもっている原初感覚を呼び覚ますこと。

この原初感覚は気を実感として感知することが可能で、その原初感覚をもってすれば、潜象界での気の動きを捉えることができるからです。

その原初感覚を使った望診法が当ブログでいう「古伝の望診」なのです。

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