脈診をこれから学ぶという方に
脈診は難しい、どうやって学んでよいかわからない、という方が多いと思います。
脈にも顔と同じように相や表情があります。
質問ですが、あなたは他人の怒っている顔と笑っている顔の区別がつきますか?
まあ、ほとんどの方が「分かる」と言われると思います。
脈を診るのも、顔の表情を区別するのと変わりません。
つまりいろんな人の表情(脈)をみて覚えること。
まずは健康人の脈をよく観て覚える。
次に病んでいる人の脈を観て違いを感じること。
それだけです。
健康人と病人の脈の違いは?
脈管の形、脈の流れや勢い、など違いを説明するのは簡単なようですが、じつは言葉で表現するのは難しいのです。
顔の表情を言葉だけで説明できますか?
例えば、怒っている顔。
えっ~と、まず目の毛細血管が充血していて、口輪筋が緊張して・・・・・わかりにくいですよね。
それに言葉で覚えると間違う可能性があります。
とにかく健康人と病人の脈を覚えて、それが健康な脈なのか、異常な脈なのかを判別できれば第1段階としてはOKでしょう。
脈を押さえる力はマシュマロが半分くらい潰れる程度の圧。
最初は浅いところ、深いところなどと考えず、まず脈相を観る。
顔の表情を見るように。
それだけで良いです。
脈を診る、その先にあるもの
ただ、脈というのは気そのものではありません。
あくまで、気の変化したもの。
気は血の師ですから、気の変化を現象界として、五感でとらえられる段階としては最も最初の段階であることは確かかと思います。
でも、やはり脈はイコール気の流れではないのです。
そこで、注意点ですが、脈の変化イコール気の変化ではない、ということを覚えておいてください。
これはとても重要なことです。
つまり、脈が平脈でなくても病気とは限らない。
脈が平脈に感じられても、健康とは限らない。
脈のその先にあるものを見なければならないということです。
脈にだまされないために
初歩的な例となります。
とある講習会で被検者の脈を診ました。主訴は肩こりです。
A先生は脾虚だと判断しました。
B先生は肝胆の変化だといいました。
さて、脈はたしかに差異だけを見ると脾虚です。
でもこの被検者さんはもともと胃弱で脾虚が体質となっています。
つまり元々の素因として常に脾虚の脈を呈しているのです。
ところが、今日はいつもよりお腹の調子は良いと言っていました。
だからB先生は、脈をそのまま読み取って、脾虚としてよいのだろうかと疑ったわけです。
みなさんも深く考えてみてください。
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