潜象界の気を調整するための経絡治療
経絡治療は古典の理論をもとに体系づけられています。
そして、その理屈が難しいですよね。陰陽五行論から始まる古典の理屈・・・。
その難しさ、怪しさが鍼灸の魅力であり、逆に敷居の高さの原因ともなっています。
しかし、鍼というのは実は単純なんです。
Aという気滞がある、そこにBという鍼の手技をほどこす。
すると気滞Aは気滞のない状態Cに変化して、病(やまい)は治癒へ向かう。
つまりA+B=C。
これは客観的に観察可能でまた、再現性のある事実、です。
つまり、この部分の事実だけを観察するならば、経絡治療は非常に科学的な医学ということになるんです。
しかしAとBの間になにが起こっているのか?そのあたりがブラックBOXになっていてその理論がわかっていない。
そこで古代の鍼灸師たちは、自然現象の観察のなかからその理屈を考え、さまざまな古典理論が生み出されたのです。
しかし、それらの理屈はあくまで仮説であって、事実として証明されているわけではありません。
さらに仮説ですから、さまざまな矛盾点も存在します。
ですから経絡治療の運用には、実はそこまで難しい理屈を覚える必要はないのです。
経絡治療の運用には事実として確認できる最低限の知識だけあれば、あとはシステマチックに施術できてしまいます。
習ったその日から施術できてしまうのが経絡治療なんです。
しかし、同時に奥も深い。
やればやるほど、その奥深さも見えてくる。
そんな経絡治療ですが、難しい理屈は後にして、まずは実践してみる、それができるのが経絡治療です。
使える経絡治療、それを目指します。
鍼灸における経絡調整
さて、望診ができないうちは脈診で気の動向をうかがいながら経絡調整をします。
脈を診る、その相手に意識を集中!
刺激量の話とも少し関連します。
経絡調整をする鍼灸治療では脈の変化で刺激量の適量を決めているからです。
脈の強さ、弱さをただ数値化して診ても意味はない。
その脈の先にある経絡の動き、生命の動きを観察しているのです。
経絡の変動をダイレクトに観察することは困難ですが、その気の動きが象(かたち)となって現れた一つが脈なのです。その脈を伺うことで、気の流れの動向を推察していきます。
経絡調整の鍼治療の特徴は接触鍼ですが、血(けつ)の変化を要するときは深く刺入する豪快な鍼法を用います。
気の変化、経絡の変動に合わせて鍼の手法を用いる、そこには生きた経絡、経穴を扱うプロの技術があります。
経絡治療家は人の健康を左右する効力のある鍼法を身に着けていきます。
その自覚があるため、自ずと真剣にならざるを得ません。
一鍼に魂を乗せて、鍼をうつ。
その一鍼が大きく経絡の動きをコントロールしていく様は圧巻であり、見事としかいいようのない芸術的な手法です。
経絡治療の修練はあくまで楽しく、笑顔で、明るくが基本です!
楽しくなければ経絡治療じゃない、といっても良いくらいです。
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