一定の脈状に対して証(あかしと読む、診断名みたいなもの)が決まっていて、それに伴う主治穴(使用経穴)も決まっています。
ですから診断即治療なのですが、それだと単なるパターン治療になってしまうと思うのです。
経絡治療のある日の勉強会でこんなことがありました。
被験者Aさんは症状としては「肩こり」と言われました。
その体質は本来、脾虚で、その時の脈も脾虚の脈状でした。
だから経絡治療を実践されている先生方は「この肩こりの主治穴はタイハク(脾虚の経穴)だ」と言うのです。
一見まともなように聞こえます。
ただ、それは練習会のことであり、Aさんの症状も、しいて言えば「肩こり」という状態。
そして私が一番気になったのは、Aさんは問診のときに最近はお腹の調子はいい、と言っていたんです。
人には体質脈があり、基本的に症状がなく健康な状態でもなんらかの証(あかし)が立つものです。
つまり、この時の脾虚という脈は体質のものであって、異常を表す脈状では無い可能性があると思いました。
この時Aさんの体質である脾虚は比較的良好な状態にあった、この肩こりは経絡異常からくるものではなくて、単なるデスクワークからの疲れのレベルである可能性が高い。
すると、経絡調整より、実際に固くなっている筋肉を直接ほぐしたほうが、即効性もあり、時短にもなる、と考えたのです。
脈診は脈の強さを見るのではなくて、脈相を見なければならない、いろいろな顔つきがあるが、形ではなくて、自然な表情をしているかどうかが大切であると思っています。
脈は気が血に変化して現れたものですから、望診ができない間は脈をみて判断することも練習になります。
そういった脈の強弱ではなく、脈相をみるような練習会をしてみたいと考えています。
その先にあるのは、やはり気滞を感知する古式の望診法です。
気を感知できる世界へ
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いかがだったでしょうか。
いろいろな感想を持たれたと思いますし、
反論を持たれた方もおられるかもしれません。
ですが、気の世界は本人の感知能力以外に
その存在を確かめる方法がありません。
そして、感じ方によっては、違う風に見えるかもしれません。
気の世界に興味を持つきっかけは人それぞれだと思います。
ただ、その気の世界が同一のものかどうかということになると、
もしかすると、人によって違うのかもしれません。
鍼灸でいう気、気功でいう気、ヨガでう気、武術でいう気とは、同じものを指すのでしょうか。
私の現時点での結論は「違う」です。
目で見える世界が現象界、
目で見えない気の世界が潜象界。
これは確かだと思います。
そしてそれはほぼ同じ位置に重なって存在していて、
かつ潜象界は現象界を包括している。
気は血の師という言葉がありますが、現象界での実体の動きに先んじて
まず気が動く、それが潜象界でのことで、それが実体となる現象界と
繋がっている。
そこまではどの気も同じなのではないかと考えています。
武術でもそうですよね。
鍼灸も同じなんです。
気は血の師ですから。
ただ、その気の世界には階層があるように思います。
現象界に近い気、純粋な気(表現として正しくないかもしれませんが)。
そして、どの階層にアプローチするかによって、
その観察者に見える気の世界が違うのではないでしょうか。
気の世界のことは、現時点ではすべて仮説です。
しかし、原初感覚による気の感知能力は気の世界への
アプローチ方法として、確かな手ごたえを感じさせるものです。
私はその能力をもって、気の世界へ挑戦したいと考えています。
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