望診講座81 「脈が脾虚だからといって、証も脾虚とは限らない」

目安時間5分

一定の脈状に対して証(あかしと読む、診断名みたいなもの)が決まっていて、それに伴う主治穴(使用経穴)も決まっています。

 

ですから診断即治療なのですが、それだと単なるパターン治療になってしまうと思うのです。

 

経絡治療のある日の勉強会でこんなことがありました。

 

被験者Aさんは症状としては「肩こり」と言われました。

その体質は本来、脾虚で、その時の脈も脾虚の脈状でした。

 

だから経絡治療を実践されている先生方は「この肩こりの主治穴はタイハク(脾虚の経穴)だ」と言うのです。

 

一見まともなように聞こえます。

 

ただ、それは練習会のことであり、Aさんの症状も、しいて言えば「肩こり」という状態。

そして私が一番気になったのは、Aさんは問診のときに最近はお腹の調子はいい、と言っていたんです。

 

人には体質脈があり、基本的に症状がなく健康な状態でもなんらかの証(あかし)が立つものです。

つまり、この時の脾虚という脈は体質のものであって、異常を表す脈状では無い可能性があると思いました。

 

この時Aさんの体質である脾虚は比較的良好な状態にあった、この肩こりは経絡異常からくるものではなくて、単なるデスクワークからの疲れのレベルである可能性が高い。

すると、経絡調整より、実際に固くなっている筋肉を直接ほぐしたほうが、即効性もあり、時短にもなる、と考えたのです。

 

脈診は脈の強さを見るのではなくて、脈相を見なければならない、いろいろな顔つきがあるが、形ではなくて、自然な表情をしているかどうかが大切であると思っています。

脈は気が血に変化して現れたものですから、望診ができない間は脈をみて判断することも練習になります。

 

そういった脈の強弱ではなく、脈相をみるような練習会をしてみたいと考えています。

 

その先にあるのは、やはり気滞を感知する古式の望診法です。

 

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いかがだったでしょうか。

 

いろいろな感想を持たれたと思いますし、
反論を持たれた方もおられるかもしれません。

 

ですが、気の世界は本人の感知能力以外に
その存在を確かめる方法がありません。

 

そして、感じ方によっては、違う風に見えるかもしれません。

 

気の世界に興味を持つきっかけは人それぞれだと思います。

 

ただ、その気の世界が同一のものかどうかということになると、
もしかすると、人によって違うのかもしれません。

 

鍼灸でいう気、気功でいう気、ヨガでう気、武術でいう気とは、同じものを指すのでしょうか。

 

私の現時点での結論は「違う」です。

 

目で見える世界が現象界、
目で見えない気の世界が潜象界。

 

これは確かだと思います。

そしてそれはほぼ同じ位置に重なって存在していて、
かつ潜象界は現象界を包括している。

 

気は血の師という言葉がありますが、現象界での実体の動きに先んじて
まず気が動く、それが潜象界でのことで、それが実体となる現象界と
繋がっている。

 

そこまではどの気も同じなのではないかと考えています。

 

武術でもそうですよね。

鍼灸も同じなんです。

気は血の師ですから。

 

ただ、その気の世界には階層があるように思います。

 

現象界に近い気、純粋な気(表現として正しくないかもしれませんが)。

そして、どの階層にアプローチするかによって、
その観察者に見える気の世界が違うのではないでしょうか。

 

 

気の世界のことは、現時点ではすべて仮説です。

 

しかし、原初感覚による気の感知能力は気の世界への
アプローチ方法として、確かな手ごたえを感じさせるものです。

 

私はその能力をもって、気の世界へ挑戦したいと考えています。

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当ブログの「望診」について

東洋医学というと、陰陽五行論をはじめ、気とか自然とか、観念論ばかりが目立ちます。

当会での望診で気を診る技術は再現性を重視、既存の東洋医学の理論とは一線を画すものとなっております。

イメージを排除し、あくまで出来るか否か、気とは、経絡とはなにか、その正体を追求します。

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現代表 勝木れい子(石川県金沢市 鍼灸師)

技術主任講師 吉田宜正(石川県 柔道整復師)

講師 岡田 (大阪府 整体師)

講師 水根 (兵庫県 鍼灸師)

講師 西域 (奈良県 鍼灸師)

 

相談役 古川正明先生(福岡)

記事執筆・メルマガ担当 前沢

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勉強会風景
古代の望診法とは

古代に存在した「望診法」はダイレクトに気と経絡を見る技術だったのではないかと考えています。

3000年以上前の診察法の言葉に「望んで知る、これ神」という言葉があります。

この言葉は現代では、見ただけで診断ができるのは神様のようなものだ、という意味に解釈されています。

しかし、この言葉がつくられた(約3000年前)当時の「神」という漢字の意味は現代のような神様仏様のような意味ではなく、

神=自然(の気の流れ)という意味であったのです。

つまり、「望んで知る、これ神」の意味は、まず望診で気の流れを見ましょう、という意味であったのだと思います。

ですから、望診は診察手順の第1にくるのです。

四診合算という言葉があります。

望診、聞診、問診、切診の総合評価で証決定をしましょうという意味にとられています。

ですが、古代の望診のあり方を考えると、四診合算ではなくて、四診はその手順どおりに並んでいるだけです。

最初に望診で気の流れを把握しましょう、次に聞きましょう(聞診)、問いましょう(問診)、切(触診)してみましょう、と続いていくのす。

診察の手順としてまず望診ありきで、ここで患者の体のバランスが自然な状態(元の健康な状態)からどれくらい逸脱していて、どこに異常があり、どこが治療のポイントかを把握してしまいましょう、とうのが望診なのです。

ですから、望診というのは、神業だという意味ではなく、通常の診察手段として、最初に来るべきものなのだと考えております。

潜象界について

潜象界とは、現象界の対義語(造語)ですが、現象界は人がその五感で感じ取れる実体の世界のことです。それに対して、現象界とまったく同時に同じ空間に存在しながらも、五感では感じ取ることのできない世界を潜象界と言います。

潜象界はいわゆる「気の世界」であるとも言われています。

その潜象界からの情報は現象界で起こっている事象に先駆けて動き、その潜象界の動きが具現化されて、現象界で実体としての動きに繋がっているとされています。ただ、いまのところすべてが仮説であり、それを数値化、もしくは映像化して確認する方法がありません。

唯一、確認する方法があるとしたら、それは人本来がもっている原初感覚を呼び覚ますこと。

この原初感覚は気を実感として感知することが可能で、その原初感覚をもってすれば、潜象界での気の動きを捉えることができるからです。

その原初感覚を使った望診法が当ブログでいう「古伝の望診」なのです。

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