望診講座82 「陰の気滞と陽の気滞の違いについて」

目安時間7分

ご質問への回答です。

 

無料講座の方からの質問なので、こちらの通信にのせましたが、かなりハイレベルな質問でした。

 

「陰の気滞と陽の気滞、両方ある患者がいるように思います。その場合はどちらの気滞を優先すべきでしょうか」

 

回答です

気滞の強い方を優先します。

 

つまり術者の感じ方の強い方ということです。両方同じくらいの強さに感じる、ということはないはずなんです。

 

どちらかが強くでているはずですからまず、そちらの消去を目指します。

 

熱証だから、寒証だから、ということは考慮しなくてもかまいません。

 

また、陽気滞を消去したら、陰気滞がでてきた、などということもあるかと思います。その場合は順次、気滞を消していきます。

 

なお、気滞消去の方法(治療方法)は先生方のそれぞれの得意な技術で対応してください。

 

これでなければダメだということはありません。

 

鍼灸、整体、指圧、漢方など、いずれでも方法はあります。

 

さて、そもそも気滞とはなにか?という話ですが・・・

 

追記 気滞とはなにか?

熊坂護という柔道整復師が宇都宮におられます。

会津古伝の整復術を正式に継承する先生です。

 

一部、伝説ともなっておられる先生です。

その技の効きは誰にも真似できないとも言われています。

 

 

                                                          柔道の古賀選手を施術する熊坂護

 

さて、その技ですが、おそらくみなさんの想像より、はるかにシンプルです。マッサージをしているようにしか見えない時もあります。

 

整体の型もありますが、型だけなら3日もあれば覚えられます。

 

でも、同じように施術しても技の効きがまったく違います。教え方もシンプルです。

 

一言「技が通ってない」、それだけです(笑)

 

そんな技の修得法は、見取稽古です。ただひたすら見て覚えて、やってみて、自分でなにかを会得していく、悟っていくしかない。

 

それができない人は辞めていくしかありません。

 

で、私がその練習に利用したのが「気滞」なんです。

 

気滞は自然治癒を阻害している「なにか」です。

 

経絡、経穴はその阻害を解消するための「ポイント」です。

 

それは整復、矯正のポイントと同じなんですね。

 

経穴というと「点」、と解釈されがちですが、「面」で存在していることもあります。

 

で、技が通ったかどうかは、気滞が解消されたかどうか、で判断できるんです。

気滞が消える方向に微妙に矯正する角度を変える、鍼先の方向や角度を調節する、または押えるポイントが何ミリずれてるとか、角度が何度ずれてる、とか判断の目安にするんです。

 

私の場合は気と経絡がわからなかったら、熊坂先生の技術も途中であきらめていたと思います。

 

たとえば肩の脱臼、ある整骨院でお弟子さんが整復しようとしてもなかなかできない、肩関節周辺の筋肉が緊張しすぎていて力で入れようとしても整復できなかった。

 

そこで先生がでてきて、肩関節を手でやさしく撫でる、するとコトッという音とともに脱臼が整復できてしまった。

 

上腕骨頭が元の位置に戻ろうとするのが自然治癒力、それを阻害しているのが周辺筋肉の過緊張です。

 

それを解消するために周辺をやさしく撫でる、というのも一つの方法で、この場合はツボは面として存在しています。

 

でもその方法しかないのかと言われれば、首の調整をしてもよかったかもしれませんし、手足末端のツボを刺激しても良かったかもしれません。

 

その場合はツボは点で存在しますよね。

 

それは先生方の修得技術、得意な技法で良いのだと思います。

気滞がわかると、技ってじつは何でも良いのだなってことがわかります。

 

指圧でも整体でも、鍼灸でも、なんでもいいんです。

 

気滞(自然治癒を阻害しているもの)が解消できればいいんです。

さて、もう一つ大事な事があります。

 

治療がうまくいったかどうかは気滞が解消されたかどうかで判断できる、これは確かです。

 

でも自然治癒力が阻害されていなければ、症状があっても気滞が無い場合があるんです。

 

例えば筋肉痛(笑)

 

どんなに痛くても、気滞が無い場合が結構多いです。

 

その場合は自然治癒力は正常に機能しているので、極端な話、放っておいても(治療しなくても)大丈夫です。

 

だからと言ってなにもしなくて良いというわけではないですよ。

 

血行促進のためのマッサージなどすれば効果的かと思いますし、痛いところに、それこそ深鍼をしてもよいかと思います。

 

気滞の応用方法はいろいろありますね。

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古代の望診法とは

古代に存在した「望診法」はダイレクトに気と経絡を見る技術だったのではないかと考えています。

3000年以上前の診察法の言葉に「望んで知る、これ神」という言葉があります。

この言葉は現代では、見ただけで診断ができるのは神様のようなものだ、という意味に解釈されています。

しかし、この言葉がつくられた(約3000年前)当時の「神」という漢字の意味は現代のような神様仏様のような意味ではなく、

神=自然(の気の流れ)という意味であったのです。

つまり、「望んで知る、これ神」の意味は、まず望診で気の流れを見ましょう、という意味であったのだと思います。

ですから、望診は診察手順の第1にくるのです。

四診合算という言葉があります。

望診、聞診、問診、切診の総合評価で証決定をしましょうという意味にとられています。

ですが、古代の望診のあり方を考えると、四診合算ではなくて、四診はその手順どおりに並んでいるだけです。

最初に望診で気の流れを把握しましょう、次に聞きましょう(聞診)、問いましょう(問診)、切(触診)してみましょう、と続いていくのす。

診察の手順としてまず望診ありきで、ここで患者の体のバランスが自然な状態(元の健康な状態)からどれくらい逸脱していて、どこに異常があり、どこが治療のポイントかを把握してしまいましょう、とうのが望診なのです。

ですから、望診というのは、神業だという意味ではなく、通常の診察手段として、最初に来るべきものなのだと考えております。

潜象界について

潜象界とは、現象界の対義語(造語)ですが、現象界は人がその五感で感じ取れる実体の世界のことです。それに対して、現象界とまったく同時に同じ空間に存在しながらも、五感では感じ取ることのできない世界を潜象界と言います。

潜象界はいわゆる「気の世界」であるとも言われています。

その潜象界からの情報は現象界で起こっている事象に先駆けて動き、その潜象界の動きが具現化されて、現象界で実体としての動きに繋がっているとされています。ただ、いまのところすべてが仮説であり、それを数値化、もしくは映像化して確認する方法がありません。

唯一、確認する方法があるとしたら、それは人本来がもっている原初感覚を呼び覚ますこと。

この原初感覚は気を実感として感知することが可能で、その原初感覚をもってすれば、潜象界での気の動きを捉えることができるからです。

その原初感覚を使った望診法が当ブログでいう「古伝の望診」なのです。

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