脈を診る指の形について
脈を診るにはまず中脈というものを診るわけですが、その大切さという事を改めて考えさせられました。
まず診るべき中脈です。
脈の判断基準となる中脈は胃の気の脈ともいいますが、殆どの患者さんは胃の気の脈には虚実がないと言われています。
つまり感知しやすく基準にしやすいということです。
この脈が伝わってくる状態を診るのに脈が糸をはったようにピンとなっていればよいののですが、たいてい動脈が少し曲がっている。
例えば関上の脈の部位、つまり橈骨茎上突起の部位は少し高く盛り上がっています。
その両端はこの盛り上がりに対して凹んでいるわけですからアーチ状の橋のようになっているのです。
この脈のかたちに沿って指を平らに当てなければならないのですが、指のほうを平らに並べてしまっては意味がない。
脈のかたちに沿って指を当てなければならない。
以外とこのような初歩的なミスをいまだにしているのではないでしょうか?
常に注意したい点です。
その中脈から浮かしてみて指の腹を突く場合は浮脈。
(※指導する先生によって違う見解を示す場合あり)
脈の基本の浮沈虚実を診るのに中脈がはっきり感知できなければ判断に迷うわけだから大事なことですよね。
脈を診る圧について
次に、脈にあてる指の圧について。
難経の五難に脈を診るときの強さについての記述がありますよね。
よく寸口の脈だけがはっきりせず虚と感じる場合、だが寸口と尺中は陽と陰で、陽である寸口は浮いている。対して尺中は陰だから沈んでいるのが普通。
五難には寸、関、尺の脈を診る強さを三対六対九と記述されています。
もっとも、これは分かり易く具体的な数字で表したのでしょう、実際に脈を診るときには、ここまではっきりとした数字的な差はありません。
ですが、そういう意識を持って脈を診なければ判断を誤るのだと思います。
これも常に注意したい事の一つですね。
次は指をあてる位置について。
私の例ですが、昔、来る患者が腎虚や肝虚ばかりということがありました。
おそらく中指が茎状突起にちゃんと乗っていなくて尺中の方にずれていたのではないかと考察しました。
これは患者の手首が屈曲しすぎていても起きる現象で、逆に肺虚や脾虚が多くなるのは逆に手首が背屈しすぎているときに起きます。
寸口の脈をしっかりと診ようと頑張りすぎた結果であるらしい。
脈を診るときの前後のズレ、左右のズレ、そして指にかける圧(深さ)が、慣れてくると微妙に狂っている事に気がつかなくなります。
常に初心を忘れず脈に接しようと思う。
さて、次に脈診における指の形と沈め方ですね。
三本同時に沈めて診るか、一本ずつ沈めて診るかという問題だが、やはり三本同時に沈めて診るほうがよいらしいです。
らしい、と言うのは大家といわれる先生でも三本派と一本派に分かれるからなんです。
ただ、初心者が脈診を覚える場合は三本同時に診るということを覚えたほうが良い。
理由は、まず脈を診る場合に脈の強弱だけでなく脈所の皮膚の状態を感じ取るようにし、次に脈の幅を診るためです。
脈の幅とは中脈からの陰、もしくは陽といった脈の幅のことです。
そして、その脈の幅を、血流を止めない状態で診なければならない。
初心者は脈の深いところを診ようと、脈がつぶれて血流が阻害されるくらいに押しつぶしてしまうので、よく注意しなければならない。
そして脈に指を当てた指を同じ形のまま上げ下げして、この脈の流れを判断します。
その全体の流れを把握するためにはやはり三本同時に脈を診るということができる必要があるのです。
ただ、詳しく診ていく場合一本ずつの判断も加えてよいとも考えています。
脈がよく分からない場合、基本に帰りましょう。
中脈から浮沈を診て判断しているか?
指の当たっている位置は正しいか?
患者の手首の形や角度を考慮しているか?
脈を診る指の圧は正しいか?
あらためて注意して脈を診ようと思う。
脈診の練習会
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