陰陽五行論の真偽
治療家のみならず、古典派の鍼灸師なら陰陽五行論は基本だと考えます。
科学派の先生方はまずこの理論が非科学である、と批判しますよね。
確かにそのとおり!
陰陽五行論はたとえ話であって、科学的な理論ではありません。
そもそも五行論にしたって、金生水と言いますが、金が水を生成することはありません。
そんなことは小学生でも知ってます。
キリスト教会だって400年後の現在ガリレオに対して謝罪し、地動説を認めたではないですか。
古典派のかたはまず、鍼灸の古典の理論はあくまで例え話であって真実ではない、ということを念頭に置く必要があるのではないでしょうか。
スポーツ外傷と経絡治療
ところで、スポーツ外傷は経絡治療では対応できませんよね、という質問をいただくことがある。
経絡治療は外傷とくにスポーツ外傷には対処できない、というのが鍼灸師の間では通説のようになっている(もちろん反論もある)。
…確かに。
私の考えでは、まず対処できないのではなく、新鮮外傷では本治法の必要がない場合もあるということ。
ただし、痛みが慢性化してきた場合は別ですが。
通常の治癒過程をへて治癒していく外傷なら、本治法はいらないでしょ。
では、なぜ本治法が要らないのか?
極端な話ですが指にトゲが刺さったら、本治法を施しているよりさっさと、トゲを抜いた方が良いでしょう?
外傷の新鮮例ではまだ、臓腑に治癒力を借りるほどの経絡が発生しておらず、そもそも調整すべき経絡がない。
あえて、経絡治療的に説明するなら、外傷は外邪です。
外邪は侵入直後ではまだ表位にあり、臓腑に影響を及ぼしてはいません。
臓腑に影響がでて初めて経絡が治癒力を発揮するために発動します。
ですから新鮮例では、まだ施術するべき経絡がないのです。
ではまったく役に立たないかというと、そうではない。
切経による反応点がポイントとなります。
スポーツ外傷、捻挫や亜脱臼のとき経絡治療家はまず損傷を受けた部位の切経をします。
反応点を探るのです。
新鮮例では反応点は外傷部位周辺に集中して現れます。
傷害を受けた関節周辺に反応点が集中していることが逆に本治法の適応ではないことを示しています。
捻挫にしても亜脱臼にしても関節を整復しなければならないのですが、極微小な関節のズレは熟練者でも判別が難しいものです。
そこで気流診の切経の技術を応用します。
反応点の出ている方向が整復の方向になるのです。
整復がうまくいくと反応点も消失します。
経絡のスポーツ外傷への応用の基本的な一例です。
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