望診講座98 「経絡治療では、経絡の調整しかできませんよ」

目安時間8分

(質問)

 

中医学をかじった程度で、キネシオロジーを検査法として使用した整体をしています。

不整脈や不眠、ホットフラッシュなどを 漢方を処方せずに治療する方法を模索中です。

経絡治療で、改善して行く事は可能でしょうか?

 

(回答)

経絡治療とは、経絡の異常の調整技法です。

したがって、経絡に異常があった場合は病名に関係なく、なんらかの効果をだすことは可能です。

 

ですが、病名がついていても、痛みやなんらかの苦痛があっても経絡に異常がない場合(当会の場合は気滞があるかどうか)は、治療の対象となりません。

では、症状があっても経絡に異常がない場合があるのか?。じつはあります。

 

多くはすでに自然治癒の回復過程に乗っている場合、またはその症状をその人の体が異常と認識していない場合です。老化や癌に多く見られます。

ですから、ご質問の病名ですが、気滞があれば、その気滞を解消する治療(経絡治療など)をすれば、改善効果は得られると思います。

 

なお、気滞を解消する方法ですが、漢方や鍼灸に限らず、経絡が調整できればなんでもかまいません。

 

指圧や整体でも経絡の調整はできます。

 

気を感知するコツ

気の流れを感知できるようになるコツは、現実をありのままに観察できる能力を発揮すること、以前に解説しました。

東洋医学創始者の有川先生の特殊な能力とはそのようなものではなかったかと考えています。

 

以前、ある経絡治療の会で勉強していたことがあるのですが、脈診、経絡が唯一絶対というような雰囲気があり、病気はすべて経絡の変動にあてはめて施術していました。

会の初期のころはそんなことはありませんでしたから、それに疑問を呈した先生方は退会していき、ますます脈診、経絡至上主義に傾いていきました。

 

こうなってはもはや信仰(宗教)です。

 

そこに参加されている先生方は真剣で、人柄も良い先生ばかりでしたが、経絡を盲目的に信仰するような状態となっては正しい病態把握はできないと思いました。

完璧な治療体系などないのです。

 

まずは自分の修得している治療体系がその病変に適応しているかどうかの鑑別診断ができることが第一ではないでしょうか。

 

私の場合でも気滞が無いときは私の経絡治療の適応外としてほかの物理療法を施術したりしています。

 

さて、現実をありのままに見るためにまず必要な事は、自分の得意の治療体系を絶対視しないこと、例外は必ずあるということを前提に観察すること、素直に対象物(人)を観察すること、の3点でしょうか。

 

追記

前回のメールに対してのコメント、でしょうか。次のようなご質問を複数いただきました。

 

(コメント)

沢山の学会がありますが、わたしは、学会に入るのは、自分に向いてないのかなぁと、今は思っています。

 

正に信仰みたいなところが、です。

 

でも、学校を出た後に先生とか師匠に教わったほうがいいんだろう、とも思っています。どういうふうに、進んでいけば良いのか迷ってます。

 

(回答)

昔の言葉に「3年かかっても良師を探せ」というのがありますから、探すしかないですよね。

 

前回メールで、ある経絡治療の勉強会が経絡信仰会みたいになっている、それでは盲目的になりすぎて真実を発見できない、と書きました。

 

もう少し付け加えると、そこに参加されている方は、盲信しているつもりはない、と考えている方も多いんです。つまり盲信している意識はない。

 

でも、私も含め、ついつい自分の修得した診断学、施術体系に当てはめてしまおうとする癖、習性がついてしまっているんです。それは無意識でも技がでるようにまで練習をつんでいるので、ある意味しかたがないとも言えます。

 

ですから、正直に言いますと、私もいまだに間違うことがあります。

 

つまり気滞がない場合は自分の経絡治療の対象外だとしておきながら、自分のイメージで気滞があるはず、これが気滞だ、と勝手に適応症にしてしまうということです。

 

ですから、最終的には自分で現実をみて、真実を見極めるしかない、と思います。

 

そのためには自己を恒に中庸におき、偏りをつくらないことが大切かと思います。

 

追記 さらに、コメントをいただきました

(コメント)

3年もかかって探すなんてできるでしょうか。無駄になりそうな気がします。

その先生が本当に優秀かどうか、いまの自分に判断できるか自身がありません。

 

(回答)

そのお気持ちもわかりますが、それでも3年、5年かかってでも自分に合う師、技法を見つける方が、もっとも効率よく上達できる方法です。

 

ただ、そのためには自分も常に中正でなくてはなりません。冷静な目で判断すると言い換えてもいいでしょうか。

 

ちょっと優れた技法を見て舞い上がってしまったり、派手な謳い文句に流されたりせず、冷静にです。

 

もう少し加えて言えば、完璧な施術体系、オールマイティな技法は存在しません。何にでも効く、なんでも治る、は嘘です。

 

それは今回のテーマ、気滞感知のコツにも通じます。

 

イメージに流されず、氾濫する情報に振り回されず、自己を中位において、冷静に見る、というのが気滞感知のコツでもあります。

 

一つ、例をあげますね。

 

捻挫を1回の施術で治せる先生がいる、と意気込んで話す生徒さんがいました。

 

でも冷静になって考えて欲しいんです。

 

捻挫は外傷であって、軟部組織の損傷を伴います。それを1回の施術で、その場で修復できるなら、それは奇跡であって、自然治癒の限界を越える技術です。

 

それができるなら皮膚の切り傷も一瞬で修復可能なはずです。

 

本当にそんなものが存在するのでしょうか。

 

単に、周囲の筋や靭帯が硬化した疑似捻挫(ぎっくり腰も同じ)なら1回の施術で回復可能です。硬くなった筋を緩めれば、OKですから。

 

でも外傷がある真正の捻挫は無理です。整復をきちっとおこなえば、症状の軽減はできますが、完全修復は無理です。

 

冷静にあたりまえのことを認識しましょう。

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当ブログの「望診」について

東洋医学というと、陰陽五行論をはじめ、気とか自然とか、観念論ばかりが目立ちます。

当会での望診で気を診る技術は再現性を重視、既存の東洋医学の理論とは一線を画すものとなっております。

イメージを排除し、あくまで出来るか否か、気とは、経絡とはなにか、その正体を追求します。

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勉強会風景
古代の望診法とは

古代に存在した「望診法」はダイレクトに気と経絡を見る技術だったのではないかと考えています。

3000年以上前の診察法の言葉に「望んで知る、これ神」という言葉があります。

この言葉は現代では、見ただけで診断ができるのは神様のようなものだ、という意味に解釈されています。

しかし、この言葉がつくられた(約3000年前)当時の「神」という漢字の意味は現代のような神様仏様のような意味ではなく、

神=自然(の気の流れ)という意味であったのです。

つまり、「望んで知る、これ神」の意味は、まず望診で気の流れを見ましょう、という意味であったのだと思います。

ですから、望診は診察手順の第1にくるのです。

四診合算という言葉があります。

望診、聞診、問診、切診の総合評価で証決定をしましょうという意味にとられています。

ですが、古代の望診のあり方を考えると、四診合算ではなくて、四診はその手順どおりに並んでいるだけです。

最初に望診で気の流れを把握しましょう、次に聞きましょう(聞診)、問いましょう(問診)、切(触診)してみましょう、と続いていくのす。

診察の手順としてまず望診ありきで、ここで患者の体のバランスが自然な状態(元の健康な状態)からどれくらい逸脱していて、どこに異常があり、どこが治療のポイントかを把握してしまいましょう、とうのが望診なのです。

ですから、望診というのは、神業だという意味ではなく、通常の診察手段として、最初に来るべきものなのだと考えております。

潜象界について

潜象界とは、現象界の対義語(造語)ですが、現象界は人がその五感で感じ取れる実体の世界のことです。それに対して、現象界とまったく同時に同じ空間に存在しながらも、五感では感じ取ることのできない世界を潜象界と言います。

潜象界はいわゆる「気の世界」であるとも言われています。

その潜象界からの情報は現象界で起こっている事象に先駆けて動き、その潜象界の動きが具現化されて、現象界で実体としての動きに繋がっているとされています。ただ、いまのところすべてが仮説であり、それを数値化、もしくは映像化して確認する方法がありません。

唯一、確認する方法があるとしたら、それは人本来がもっている原初感覚を呼び覚ますこと。

この原初感覚は気を実感として感知することが可能で、その原初感覚をもってすれば、潜象界での気の動きを捉えることができるからです。

その原初感覚を使った望診法が当ブログでいう「古伝の望診」なのです。

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