まず「何がしたいのか」です
さて、先週1週間限定で経営相談を受け付けました。いくつかご相談をいただいておりますので、気・経絡の話題から少しそれて経営の話をいくつかしたいと思います。
私の師匠の一人に熊坂先生という柔道整復師がおられます。整復を得意としておりましたが、ある日保険診療を止めて、一回6000円の実費診療に切り替えました。
その理由は保険診療では亜脱臼整復治療は成り立たないから、です。
亜脱臼は慢性化している例が多く、施術にも時間がかかります。一人30分~60分くらいとられますので、多くても1日10人くらいしかできません。
なので保険診療では経営が成り立たないという理由もあってのことでした(保険では客単価は1500円くらいです)。
保険取扱いが厳しい時代だから実費に切り替えたわけではありません。熊坂先生の時代は保険全盛期ですから、まわりからは実費で患者が集まるわけない、と言われたそうです。
ですが、実際には予約でいっぱいに。
もちろん熊坂先生にそれ相応の技術があったからでしょうが、それ以上に実費でなければならない明確な理由がありました。
そこで、こちらから質問です。
「あなたのやりたいことはなんでしょうか?」
そこが明確ならば、保険診療か実費診療か迷うことはなくなると思います。
開業場所の選び方
開業の場所についての相談もありました。
定番はやはり人の集まる場所ですし、交通の便の良い場所、意外に気づかない穴場は病院のそば、です。
ただ、相談された方は戸数150ほどの小さな集落で自宅開業を考えておられるようです。
そんな場所では無理でしょうか?と思われているようなので、これも具体例を一つ。
開業前に自宅開業されていた先生がいました。100世帯ほどの小さな集落ですし、町の中心部からは完全にはずれです。でも以外なことに1日平均8人ほどの患者がきていました。自宅なので経費はほぼゼロ。
8人×3000円×営業日数ですから生活はできますよね。
はずれの集落にはそれなりの需要があるんです。それは近いからこそ通える、といった高齢者のかた。
なのでその先生が地域医療に根差し、高齢者ケアに徹するなら十分にありでしょう。
ちなみに例の先生ですが、その県の県庁所在地、つまり一番大きな都市で正式開業しましたが、最初は閑古鳥が鳴いていて相当苦労されたみたいです。
近い、ということは一つのメリットであり、その治療院を選択する理由になりうるんです。
ところが大都市の中だと治療院の数も相当にあり、その先生のところに通う特別な理由がありません。
やはり、「なにがやりたいのか?」で変わってきますよね。
高齢者向け地域医療を目指すなら田舎開業もアリでしょう。
でも、スポーツ外傷専門にやりたいのであれば、スポーツ選手が集まる場所にいかなければダメですよね。
まずはそこからです。
なので、自分にもう一度聞いてください。
「自分はなにをやりたいのか?」
ここで大切なことはたった1つに絞ること。
1つだけ言ってくださいというにも関わらず、2つも3つも言うかたがおられます。
2つは多すぎると思ってください。
1つだけ、たった1つだけできるとしたら、なにがやりたいか?
具体的に、誰の、どんな症状を治したいか、そこまで絞り込めれば合格だと思いますよ。
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