鍼の響きは施術者しか感じない。
これってどういうことなんでしょう?
鍼の響きというものは、言い換えれば気の響きです。(得気ともいいますが)
つまり気というものは現象(見える世界)のものではなく、見えない世界のものであるために、現象を感知する通常の五感(視覚、触覚など)では感知できない、ということなのです。
ですから、五感以外の感覚が発達している方なら受け手でも鍼の響きを感じるのでしょうが、多くの方は感じることはないようです。
では施術者が感じるとはどういうことか?
「脈を診ていると患者の体の状態が自分の心我が事のように感じる」
岡部素道先生のお言葉です。
このように、気を診る感覚が発達してくると、患者の経絡の気の動きを感じるようになるのだと思います。
それは、もともと人が持っていた特殊な感覚なのかもしれませんし、先の日記に書いたように体の中を探知しようと意識を集中しているうちに獲得した能力かもしれません。
本当のところは分かりませんが、なんらかの感知能力は確かにあるようです。
そして程度の差はあれ、そういう能力がないと経絡の調整はシステムに頼らざるをえません。
そこが経絡治療の難しさだと思います。
経絡と漢方
体の感覚を敏感にすることによって、ツボや気のルートを発見していった。
そう仮定するとして、経絡や経穴の発見と同時に、そして経絡・経穴とは別に発見されたものがある。
それは、「くすり」となる植物や鉱物などの薬効です。
それがのちの生薬(漢方薬)となります。・・・いや仮定ですが。
それらは実際に服用して効果を試していったのではないと思います。
精製剤(いわゆる現代医薬品)は実際に動物実験をしてデータをとり、人体で臨床データをとり医薬品としての認可をうけますよね。
かつての生薬はおそらく気に敏感体質となった人たちによって口に含んだだけ、はなはだしい場合は手に持っただけで効果を実感できたと思うのです。
つまり体に触れただけで、患部に響きを感じる、そして効果があるなしを判定していく。
これはツボの作用と同じです。
そこで鍼灸漢方同一論が生まれたのではないでしょうか。
とすると、漢方薬の成分分析をして適応症を決めることは本来の使用方法とは違うのかも知れませんね。
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