正規受講者さんからの質問で鍼の深度はどのように決めていますか?という質問がありました。
気と経絡の調整においては重要なのは鍼の向きと角度ですので、深度は皮膚接触だけでも効果がでます。
また刺入した場合でも1~数ミリで十分でしょう。
では深刺しはしないのか、というわけではありません。
経絡は関係なしで、筋肉の硬結などを狙って3寸~5寸の鍼をめいっぱい刺入することもあります。
とくに経絡の変動が見当たらない(気滞がない)場合などは、そのような物理刺激療法を優先することもあります。
ただそのポイント(経穴)が-(マイナス)点でないことが重要ですが。
気流診の経絡調整においては-点(陰点)と+点(陽点)が対になって出現します。
その場合、陽点は強刺激でも大丈夫ですが、-点は強刺激や直接灸が不可の場合があります。
なのでそのポイントに深刺しは注意が必要となります。
ところで、+点、-点を取り違えるとどうなるのでしょうか?
参考までに下記に症例を載せておきます。
マイナス点に強刺激を与えた結果、症状が悪化してしまった例です。
症例・たんこぶで咳が発生した珍しい例(参考までに)
これは私のところの症例です。少しめずらしい例です。
患者、男性48歳、主訴は咳でした。
大学病院まで受診しましたが、確定診断にはいたらず、ときどき激しい咳に悩まされていました。
そこで、鍼灸での施術を希望されたので、望診と切経によって、左足臨泣(+点)、頭部左側(-点)を取穴して、施術。症状は改善され、数回の施術でほぼ、咳はおさまったかのようでした。
ところが、ある日再発、再来院。
望診の結果も取穴も同じ。ただ頭部の反応点部位を触ってみると、コブができています。
本人が言うには、「仕事で業務用冷蔵庫のフックに思いきりぶつけた」とのこと。自発痛はないので、忘れていたそうです。
マイナス反応点に強刺激は厳禁。私はこれが咳の再発を招いたのではないかと思いました。
現代医学による確定診断が無い以上、経絡的な判断ではこの「たんこぶ」が原因かと思われます。
そして、同様の施術プラス、たんこぶへの処置。2回ほどで咳は収まりましが、さて、今後はどうなりますか。
要経過観察ですね。
こんな例もたまにあります。
吉田技術主任の施術風景
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