そもそも柔道整復師は、その存在価値を間違って認識している
柔道整復業界の裏側と、将来性を本音で語ります。
なので、覚悟して読んでくださいね(笑)。
私がこの業界に入った30年前、当時の整骨の先生方は「30年前とは事情がだいぶ違うからね」と言ってました。
どういうことかと言うと、そこからさらに30年前は整形外科が普及しておらず、捻挫、脱臼、骨折の整復は整骨院の役割だったのです。
レントゲン検査も整骨院でできましたからね。
なので昔の柔整師は医師なみに稼げました(うらやましいです・本音)
ところが、整形外科が普及して以降は脱臼、捻挫の整復業務は整形外科医の仕事になってしまいます。
つまり今から30年以上も前から柔道整復師の業務は無くなっていたんです。
いや違うぞ、うちではちゃんと整復してる、骨折もみている、という先生もおられるでしょうが、業界全体で見た場合はどうでしょうか?
私を含め、同期の整骨院で骨折、脱臼の整復で業務が成り立っている整骨院なんて、ありませんよ、皆無です。
まず、柔道整復師の保険適用業務は骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷のいわゆる外傷に限られます。
でも、そのほとんどの仕事はいまはないんですよ。
それが現在の整骨院保険取り扱いで不正が横行しているという問題の遠因となっていました。
患者はくる、保険適応の外傷じゃないけど、それを捻挫・挫傷だといってレセプトをだせば、通る。※レセプト=保険請求書のことです
患者も柔整師も両得ですから、そりゃ、やりますよね、保険請求。
昔は本来の業務があったので、不正請求なんてする必要もなかったんです。
それから30年、その問題が棚上げされたまま現在となり、今年から柔道整復業界に厚労省のメスが入ることになります。
2018年度から、保険取り扱い(柔整師の場合は受領委任払いといいます)をする場合、1年間の実務経験がないと開業できない、さらに2日間の専門研修を受けることが必須となりました。
さらに、レセプトの監視体制が強化されます。
以前なら普通にできた部位転がしが出来なくなります。
※部位転がしとは、外傷は3か月間が施術期間の目安になるので、首が治ったら、腰で請求をだす、また3か月たって腰は治癒、今度は膝の捻挫でレセプトを出すといったことを繰り返すことを言います。
国の事情もあるのでしょうね、予算がない、削れるところは削りましょうってことです。
レセプト監視を強化した昨年、柔整の保険支払いを5億円ほど削減できたそうです、成果がでてます!
でも、よく考えたら、それが本当なんですよね。
いままでがおかしかったんです。
問題をずっと棚上げにしていたことも。
いまやっと業界が正常に機能するように向かっているのだと思います。
鍼灸の同意書も・・・
鍼灸師も同じように厳しくなっています。
鍼灸の保険請求には医師の同意書が必要です。
以前はその同意期間は3か月でしたが、今年(2018年10月)から6か月間に延長されました。
なんだ、良くなったじゃないか!と思われるかもしれません。
でも、その同意書を書いてくれる医師がいません。
以前書いてくれた先生でも、いまは同意書を書いてくれません。
その理由を聞くと「いま医師会の役員をしているから書けないんだ」とか、「うちは医師会に入っているからだめだよ」と言われます。
どういう意味なんでしょうかね?
それで、どの先生なら書いてくれますかって聞くと、「あそこの先生なら医師会に入っていないから書いてくれるんじゃない?」という返事です。
あとは察するしかないですね、みなさんのご想像にお任せします。
柔道整復師の価値と未来
話を元に戻します。
では、柔道整復師の将来はどうなっているのか?
まず、保険取り扱いが今後もますます厳しくなっていくことは間違いありません。
開業条件の1年間の実務経験も3年に延ばされる予定です。
レセプトの監視体制もさらに厳しくなります。
いままでのように部位転がしによる保険制度で食べていくことは、出来なくなります。
保険が効くので安いからという理由では存在できなくなるということです。
ですから柔道整復師も実費診療せざるを得なくなるでしょう。
すでに実費診療に切り替えていこうという先生方も増えています。
そこでものをいうのは、やはり「治せる技術」です。
慰安マッサージ?、美容?、そんなもので付加価値をつけても疲れるだけでしょう?
そもそも、それなら柔整師の資格も必要ないとうことじゃないですか。
そんなことをしなくても柔道整復師本来の業務で、整形外科医が手の出せない分野があるじゃないですか。
いまこそ原点回帰すべきなんです。
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