整体師は「ゆらし」の技法で生き残れ

目安時間9分

初心者でも短期間で習得できる上に安全に施術を行えるのは、ゆらし系の手技療法をおいて他にないのではないでしょうか。

 

もともと「ゆらし技法」「静圧技法」は柔道整復師が整復前に筋肉を緩めるための技法として使っていました。

 

それをひとつの体系にまとめたものが、「ゆらし系整体」であり、和伝整体技法です。

 

この手法の良い点として、基幹の型と言う「型」をそのまま施術すれば、全身のおおまかな調整ができてしまうこと。誰でも比較的安全にそして、最大限の効果を出せることです。

 

さらにもう一つ、この基幹の型で大方のゆがみをとり、経絡の変動をおおまかに調整したあと残った症状を応用技や整復法によってアプローチすると言う2段構えになっていることです。

 

近年、柔道整復師には本来の業務である骨折、脱臼の整復の仕事をほとんど整形外科にとられ、本来の活躍ができないと嘆かれています。

 

しかし、整形外科においては軟部組織の異常緊張や誤作動、および微小な関節のズレ(亜脱臼)は、その忙しさからか治療の対象外です。

 

それらの調整は古流整復の技術をもって行うしかありません。

 

本来の柔整師の整復技術は骨折や完全脱臼の整復だけではないのです。

 

整復前の筋肉を緩める技法や亜脱臼を整復する技法は現代においても整形外科医院などでは対応してくれない特殊な整復術です。

 

つまり、それらの整復技術はいまでも整体師、柔整師にしかできない特殊技能なのです。

 

また、関節の微小なズレはレ線像には映らず、異常とは判断されません。

 

しかし多くの捻挫は微小なズレ(亜脱臼)をともない、整復せずに痛みだけ回復させてしまうと再発をおこしやすく、癖になりやすいものです。

 

整形外科では放置されたままとなるこの微小なズレを整復するのは整体師、柔整師の業務でありましょう。

 

筋肉が緊張しすぎて脱臼整復が困難な場合、いまは麻酔で筋肉を弛緩させてしまうため、徒手技法で筋肉を緩める技術は整形外科医師にはありません。

 

しかし古くからの柔整師は麻酔など使えなかったために整復の前に異常緊張した筋肉を緩める技術体系を持っていたのです。

 

筋肉の異常緊張をとるのは脱臼整復前だけではないのです。

 

ほとんどの外傷では治癒後も異常緊張が残るため痛みも残り、慢性疼痛に移行しやすいのですが、その慢性疼痛を回復させるためにこそ柔整師の伝統技法を使うべきではないでしょうか。

 

和伝整体塾の講義内容

当スクールの技法は保険診療の+αとして局所にのみ使おうとするには正直、向いていないかもしれません。

 

それは基本的に全身の調和(経絡も含めて)を考えながら施術していくからです。

 

もちろん、どのように自身の施術に取り入れるかは自由ですのでそれぞれで工夫しながら使っていただければと思います。

 

ですが、以下私が理想としている施術の流れを説明させていただきます。

 

1まずは診察診断
ここが最も重要です。

 

まず整体の適応か否かを判別します。適応ではない場合は速やかに専門機関を紹介します。

 

和伝整体は応用範囲の広い技法ですが、万能の医療技術ではありません。

 

適応では無いと判断した場合は他の医療機関を紹介するのが患者の為であり、術者の為でもあります。

 

適応と判断した場合、施術に入りますがさらにどの技法体系をメインにするかを考えます。

 

2古式マッサージについて
体液、血液の鬱滯が主ならマッサージ主体となります。

 

揉むという技法が重要となる場合もあります。疲労回復や予防ならこれをメインにしても良いかと思います。

 

ごく初期の軽い歪みや、軽度の経絡・経筋の変動ならマッサージだけでも矯正可能ですが、あまりおすすめできません。

 

なぜなら、整体、整復もしくは経絡治療を用いたほうが、効率よく回復させることができるからです。

 

もっとも患者によっては鍼灸は苦手、整体は怖いなどと言うかたもおられますから、患者さんと相談しながらもっとも効率良い施術をオーダーメイドで組み立てていくことが必要かと思います。

 

3和伝整体メイン技法について
筋肉の誤作動が主ならゆらし整体がメインになります。

 

ここで注意しなければならないことはついサービスのつもりで強圧(押す、揉む)をかけると患者に痛みのある部位を再認識させることになり、さらに筋肉の誤作動を固定させる結果になりやすい。

 

その理由は、本来なら患者の脳に筋肉の動作不良であることを認識させ、自己修正させなければならないところ、強い刺激を与えると、その刺激に誤魔化され、いつまでたっても修正できない結果になりやすいということであります。

 

ゆらし系の整体師の方々が按摩マッサージを嫌う傾向にあるのはそのためです。

 

 

4古式整復法
亜脱臼がある場合に用います。ただし矯正部位に関係する筋肉群を緩めておくことが矯正成功の前提条件ですから、いきなり整復にはいっても失敗する可能性のほうが高いです。したがって整復術を単体で使用することはあまりありません。

 

筋肉を緩める方法は古式マッサージが本来のやり方ですが、ゆらし整体、鍼灸、各種電気治療機器などを利用してもかまいません。

 

5気滯・経絡変動の修正
治りにくい筋肉の誤作動や原因がはっきりわからない痛みなどは経絡の変動がメインとなっている場合が多く見られます。

 

経絡治療の適応かどうかは経絡の変動の有無で決めますが、変動の有無は気滯の有る無しで決めることが多いです。

 

古式マッサージ、ゆらし整体、整復法と併用していただいてもかまいませんが、効果を相殺しないために他の施術は控え、経絡の調整後に整体による矯正をしていくという施術の流れをとることが多いです。

 

6まとめ
痛みの原因によって技法を使い分けますが、それぞれを組み合わせることもありまた、亜脱臼の整復が終了したあと、経絡の変動が見つかった場合は経絡修正の施術をすることもあり、その後発生する筋肉の誤作動についてゆらし整体をもちいることもあります。

 

患者の経過にしたがって毎回事に違う施術をすることもあります。

 

世の中にはさまざまな治療法がありますが当塾では王道を歩みたいと思っております。

 

1つの原因に対してその施術内容、基本方針は各治療術間においてそう大きく違わないはずです。

 

目の前の痛みに対して、どのような方針でどのような施術を用いるか、深く深く考えてみてください。

 

あなたなりの答えがきっと見つかります。

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古代に存在した「望診法」はダイレクトに気と経絡を見る技術だったのではないかと考えています。

3000年以上前の診察法の言葉に「望んで知る、これ神」という言葉があります。

この言葉は現代では、見ただけで診断ができるのは神様のようなものだ、という意味に解釈されています。

しかし、この言葉がつくられた(約3000年前)当時の「神」という漢字の意味は現代のような神様仏様のような意味ではなく、

神=自然(の気の流れ)という意味であったのです。

つまり、「望んで知る、これ神」の意味は、まず望診で気の流れを見ましょう、という意味であったのだと思います。

ですから、望診は診察手順の第1にくるのです。

四診合算という言葉があります。

望診、聞診、問診、切診の総合評価で証決定をしましょうという意味にとられています。

ですが、古代の望診のあり方を考えると、四診合算ではなくて、四診はその手順どおりに並んでいるだけです。

最初に望診で気の流れを把握しましょう、次に聞きましょう(聞診)、問いましょう(問診)、切(触診)してみましょう、と続いていくのす。

診察の手順としてまず望診ありきで、ここで患者の体のバランスが自然な状態(元の健康な状態)からどれくらい逸脱していて、どこに異常があり、どこが治療のポイントかを把握してしまいましょう、とうのが望診なのです。

ですから、望診というのは、神業だという意味ではなく、通常の診察手段として、最初に来るべきものなのだと考えております。

潜象界について

潜象界とは、現象界の対義語(造語)ですが、現象界は人がその五感で感じ取れる実体の世界のことです。それに対して、現象界とまったく同時に同じ空間に存在しながらも、五感では感じ取ることのできない世界を潜象界と言います。

潜象界はいわゆる「気の世界」であるとも言われています。

その潜象界からの情報は現象界で起こっている事象に先駆けて動き、その潜象界の動きが具現化されて、現象界で実体としての動きに繋がっているとされています。ただ、いまのところすべてが仮説であり、それを数値化、もしくは映像化して確認する方法がありません。

唯一、確認する方法があるとしたら、それは人本来がもっている原初感覚を呼び覚ますこと。

この原初感覚は気を実感として感知することが可能で、その原初感覚をもってすれば、潜象界での気の動きを捉えることができるからです。

その原初感覚を使った望診法が当ブログでいう「古伝の望診」なのです。

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